一周年を迎えて思うこと 着物アドバイザー編
私が仁桜-ninyo-と屋号を構えて2月で一年になります。
自分の名前の「仁」と2年前心臓弁膜症で亡くなった愛犬チェリーシャの「桜(チェリー)」から付けた名前です。彼女がお空に行った日は4月1日、桜が満開の日でした。。
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着付け教室、マナースクール、アドバイザー、和小物作り、なんでも屋ですが、今日はアドバイザーについて徒然と書き留めておこうと思います。
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きものアドバイザーは、仕事場では一番底辺にいる者です。
アドバイザー自体の息も長く50歳目前のわたくしでも若手と言われます。
この狭い呉服の世界でしのぎを削るアドバイザーの中で生き残るには、まずは礼儀と心得ます。
そして、何処で立っても目を惹く美しい着付けの技術を磨くこと。お客様が自分を選んで接客を求めてくださらなければお相手ができませんから。
それはきらびやかな着物を着て目立つということではありません。私が着るのは小紋か紬、色も白黒紺グレーなどのモノトーン。お客様より格の高い着物を着るわけには参りませんから、映えても紫のグラデーションのお召しくらいです。
そのかわり力のある帯を締めて帯揚げ帯締めの小物で粋を演出します。
するとお客様の方からお声をかけてくださいます。
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私はお昼やお茶の休憩をいただく時、別の売り場の方、通り過ぎる社員様皆様に目を合わせて「お願いします」と言って頭を下げます。
全員同じ時間に体を休めることはできません。私が休憩している間、売り場に立ち続けお客様をおもてなししてくださる誰かが存在するのですから、戻った時は当然「有難うございました」とお辞儀をします。
半年間このように続けてきた挨拶ですが、最初は「何者?いつまで仕事が続くのかしら?」と新参者に訝しげに頷くだけだった方々が、今は「ゆっくりいってらっしゃい」「お帰りなさい」「お疲れ様」「今頃お昼?大変だねー」と声をかけてくださるようになりました。ある時、
「お客様があなたのようなコーディネートで着たいとおっしゃっていたよ。ここのディスプレイをやってくれない?」
と、アドバイザー冥利に尽きる言葉をいただき、それまでの孤独と不安、抱いていた負のイメージが全て吹き飛び報われた思いがいたしました。
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一番弱い立場にいる者が、自分の居場所を見出すには、誠実にそして信念を持って継続すること。見ている人は見ています。そして信頼を確信して手を差し出してくれます。
その手を掴み、誠実さを持って応え続ければ道は開かれるのです。
そして信頼と友愛で繋がった者同士が幸を与え合い、お互いがさらに大きな幸を得る。煩わしかったものの影は自然に薄れて離れて消えてゆくのです。
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チェリーシャ、お空で見ていてね。
お母ちゃんは前に進んでいるよ。。
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着付けに関しては流派もお免状も看板も貰わないと決めています。
現場の最前線、叩き上げで行くのが圧倒的にかっこよく、圧倒的に面白い!
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